カタログでは、
情報過多な日常の時間に流されることなく、時間の淵にたたずみ、その裂け目(クレヴァス)を覗き込むスリリングな体験の場
と説明されている。ただ、実際に展示されている作品が、なぜ時間の裂け目として選ばれココにあるのかが良く分からなかった。小規模な企画展だと、全体のテーマがもっと具体的でその文脈の中である程度ヒントというか、ある「ひっかかり」をもって作品と接することができる気がするけど、今回はそれがほとんどできなかった気がする。
現代アートをカタログでは、
人々の柔軟な思考と創造性を刺激する
と書いているが、それにしては情報不足だろう。もしかすると、情報過多な日常をすごす私たちに向けての一休みを提案してくれていたのかもしれないけど。作品に対する解説は、いったん聞いてしまうと自分なりの解釈ができなくなるのでなるべく避けたいけれど、情報が少なすぎると、やっぱり楽しめないと思うのです。過去の作品、選定理由などなど、バランスを崩さない程度にカタログででもいいのでもう少し出して欲しかった。
2000年に川村記念美術館であった「美の扉 Art for Life's Sake」はそういう意味ですごく良かったと思う。それぞれの作品の前に箱があり、作者の過去のインタビューや著作の一部などを作品を読み解く鍵として提示してくれていた。かならずしも、作品そのものをストレートに説明しているものばかりではないので、鑑賞の邪魔にもならず、パズルのような楽しさがあった。
ある作品で使われていた黒板の落書きの数々。「わからん」とか「なにこれ」っていう反応って、作家にとってどうなんだろう。
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