2010/10/21

怪談

今日、職場で唐突に同僚からパッケージをはがしたDVDを「見る?」と。
中身を見ると、黒沢清監督の「CURE」。最近、ホラー映画を全然見てなかったので、怖いもの好きな同士を見つけたみたいで嬉しかった。

で、話は変わるけど、あー、この怪談ダメだなーと思うパターンって結構似通ったものが多い気がするのでちょこちょこまとめていきたいなと。
  • それは絶対に夢や幻ではありませんでした、という自己申告
  • 急に金縛りや体調不良に襲われた、といいつつ寝てなかったとか落ち込んでたとか告白してしまう
  • こういうものを見るのは初めてではないので…という謎な一文
結局、客観的な「事実」を強調されたり、よく見る私が言うのだから「間違いない」と言われても、お話の面白さとは関係ないよ、ということなのかな。

自分が、怪談が好きなのは、その突拍子もなさや、オチのない終わり方に、他の創作物では出せないユニークなストーリーとか、まるで豆腐をナタで切るような静かな狂気を感じるから惹かれるのです。

いろいろ書きたいけど、まとめきれない…
おすすめを2冊あげて、今日はオシマイ。

meido.jpg
絵本。金井田英津子さんの絵が素晴らしい!

kaidantureturegusa.jpg
「見える」側からのよもやま話。対談形式で臨場感たっぷり。
挿画は単行本のほうが断然好み。ブックデザインはコズフィッシュ。

さて、いつ 「CURE」見よう。

2010/09/16

モニタとプリントアウト

読みやすさと理解は相反?:電子書籍への提言 | WIRED VISION
を読んで。

この記事では、電子書籍に対して理解しやすくするために、
読むことを「難しく」する機能が欲しいと思う。例えば、フォントをわざと変えたり、画面のコントラストを下げたり、白黒を反転させたりといった機能

を追加することを提言している。

画面上では間違いが無いように見える文章も、実際にプリントアウトしてみると間違いを発見しやすい


という経験から、それは

紙の上では、慣れていないことから少し緊張が与えられるため、読むことに意識化する


からじゃないかと言っているのだけど…

つまり、電子書籍(この場合Kindle)では、読みやすすぎて、内容に意識を集中できず読み飛ばしているのでは、と仮説を立てて最初の提言に至るのだけど、そうかなあ。

プリントアウトすると間違いを発見しやすいというのは、すごく分かる。
ただ、「慣れていないことから少し緊張が与えられる」っていうのはどうなんだろう。

Kindleを使ったことがないから、そこは分からないけどPCのモニタに限って言えば、広さと距離の問題な気がする。

モニタで見る文字は、スケーラブルでスクロールも自在。どこまでも広がって、どこまでも近づける(制限もあるけど。たとえば6400%まで…とか)。プリントアウトすると、それがビシッと固定されるから、“見る”ことにフォーカスできるような気がするんだけどな。

なんか、あまりに違和感があったので思わずポストしてしまった。そんなにKindle読みやすいのかな。

2010/09/14

Staff BENDA BiLiLi

週末に、渋谷のイメージフォーラムで、「Staff BENDA BiLiLi」を観てきた。

staff-benda-bilili.jpg

細かいことはオフィシャルサイトで載っているので省くけれど、本当に力強く歌う姿に勇気づけられた。
まず予告の「ペルシャ猫を誰も知らない」で涙ぐんでしまい、冒頭の「Tonkara(ボール紙)」ですでにボロ泣き。

オレはかつてボール紙の上に寝ていたが
ツキに恵まれてマットレスを買った
同じことが起こりえるんだ、お前にも、彼にも、彼らにも
人間に「再起不能」なんてことは絶対ない
お前にもチャンスが予告なしに訪れる可能性もある
人生に「遅すぎる」なんてことは絶対ない
いつの日かオレも一花咲かせるから

ひとりの人間の人生についてとやかく言っちゃいけない
誰も自分でその人生を選んだわけじゃないから
マカラからやってきた子供の人生についてとやかく言っちゃいけない
誰も自分でその人生を選んだわけじゃないから


カッコよすぎるよ。その歌も歌詞も、改造自転車のチョッパー風車椅子も。
特に自分で発明した(ホントに? 凄すぎる!)一弦ギターを寡黙に弾くロジェが、パリのフェスで演奏した「クルナ団」についての歌で披露するボーカルが素晴らしすぎてボロ泣き。

いい映画でした。

蛇足ながら、渋谷のイメージフォーラムって、大学の時出会ったかわなかのぶひろさんと、大山慶さんのイメージが強くあって、なんとなく玄人向けなイメージで足が向かなかったけど、面白そうな映画がいっぱいかかっててもっと行きたいなーと思ったのでした。

2010/09/08

軍隊

世界の軍隊のリクルート用CFいろいろ。
この脳天気さ、びっくりする。

特にウクライナ。短絡的すぎるだろ。



元のページはここ。観切れないくらいあります。

The Best Military Recruitment Commercials From Around The World

2010/09/07

閉店

バーンズ・アンド・ノーブル(Wikipedia)が閉店を決めたそうだ。

driven out by high rents, the company announced on Monday.

Barnes & Noble to Shutter Lincoln Center Store - NYTimes.com


記事では、高い賃料が原因だそう。一体、賃料はいくらくらいなんだろう。
大型書店に行くと、やっぱりその場を歩きながら、いろんな本を眺めるのはすごく楽しいし、驚くような出会いがあるものだなーと思っていたけど、それは高い賃料や、売り場づくりの努力に支えられている、もしかしたら今後は簡単には望めない貴重な体験なのかもしれないと思った。

閉店つながりで、最近、HMV渋谷が閉店した。そのことを「やっぱり配信で買う人が多いのかな」なんて、簡単に考えていたけど、このブログを読んで、それだけじゃない、いろんな問題が複合したものなんだな、と思った。

閉店を発表する少し前、HMVの顔である渋谷店は大々的なリニューアルをした。その新装オープンに期待をかけた僕は、早々に足を運んで、絶句した。
リニューアルしたその店は、もう、ただ床面積の広いだけの、巨大な無個性店に変わり果てていた。
前述の看板設置スペースをいたずらに増やし、所蔵枚数をストックする棚を大幅に減らし、忘れ去られるべきでない過去の名番や、売れはしなかったが歴史を変えた名作は、ことごとく店頭から姿を消し、大型店の最大の喜びであるはずの、自分の為の一枚を探し出す楽しみを僕らから奪ってしまった。
この時、僕は、この店の終焉を確信した。

レーベル運営の悲喜交々:HMV渋谷閉店にまつわる僕の見解 - livedoor Blog(ブログ)


僕は、本が好きだけど、こういう売り場の楽しみは、主に古書店に行く時に感じていたように思う。外房の小さい町出身だから、大きい書店なんてなくて、小さい古書店のカオスが楽しかった。

一生かけても読み切れない量の本が世の中にあるのに、今、ここに、この本がある。ちょうど読みたかった本、しかもワゴンで100円!なんていう楽しみ。10冊少ししかない外国文学のコーナーにすごく面白そうな本を見つけて、すごくうれしくなるような。

でも、学生のころに行った書店で、そういう楽しみを求める気持ちも少し冷めてしまった。だいぶコンディションの悪い、昔から読みたかった本を見つけてレジへ持っていったら、値札が付いていなかった。
店番をしていたおばちゃんは、しばらく値段を探してから、ネットで価格を調べ始めた。しばらくして、「へー、この本高いのねー」と言い、定価の半額を告げた。

店主が不在の時の販売のオペレーションなのかもしれないけど、なんというかそういうことをされると、幻想が冷めちゃう。ネットで買える値段に揃えられてしまうなら、そっちで買うよ。ぼろい本なら、すこしでも値段に手心を加えるような、なんかそういうイベントが欲しいのに(もちろん、そんなことしないよってお店もあるだろうけど)。

こういう古書店普通なのかな。
近所にあるお店は、ホームレスの人が集めてきた漫画雑誌を大量に買い取って売りさばいてるし(買取カウンターにしょっちゅういる)、嫁がその店の本を買おうとレジに持っていったら「この本は買取できるレベルじゃない」って言われたらしいし(そんなん売るなよ)。

帰り道にフラッと寄るのが好きなんだけど。面白いお店に狙って行かなきゃだめだね。

2010/09/06

3D

3Dは、どうなるのか。

大好きなTRONの続編、「TRON LEGACY」について、

“『アバター』で使用された3D制作システムをさらに改良した最新技術が使われたというだけあって、手前の被写体から奥の背景まですっきりとクリアに見通せる奥行き感が美しく、思わず恍惚となってしまう。CGで構築されたバーチャル空間の巨大建築物やクールなインテリアデザインと3Dとの相性もいい。”☞『トロン:レガシー』7分間の特別映像で3Dの進化を実感 | WIRED VISION
http://wiredvision.jp/blog/takamori/201009/201009032355.html


という記事を見て、おお、期待!となる一方、

「バイオハザードIV」が、もろにマトリックス風、かつ、斧やら手裏剣?やらが3Dで飛び出します!な予告を見て、どうでもいいやー、って気分になったり。



結局、フリスビーが飛ぼうが、手裏剣が飛ぼうがどうでも良くて、映画そのものが面白いかどうかな気がするのです。

そんななか最近の眼福映画ナンバー1が、「インセプション」。監督のフェイバリットがもろはまりで、いろんな映画のいいシーンを集めまくったようなところも良かったけど、とにかく画面を見ていて気持ちがいい。

タマフルの映画評でクリストファー・ノーランは、撮影にIMAXカメラを使っている、という話を聞いて、だから、臨場感とか迫力とかが凄いのかなーと思ったり。
具体的にどう違うのか、IMAXシアターで見なくても凄いのか…、そんなことをいろいろ考えていると、また観に行きたくなる。

2010/09/01

電気ショセキ

電子書籍のニュースをぱらぱらと読んでいたけど、
まとまらないので、とりあえず感想だけでも少しづつポストしていこうと思う。

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しかし、「電子書籍」って「電気ブラン」みたいな、いつかレトロなものとして懐かしまれてしまいそうな響きを感じてしまう。
「ほん」くらい突き放した、シンプルないい言葉ってないのかな。
「E本」…。

“大前提として「特定のビューワ・環境でないと読むことができない」という制約を設けてはいけない、と考えています。紙の本にはそんな制約なんてない”
ASCII.jp:iPhone/iPad規制と、これからの電子書籍

まつもとあつしの「メディア維新を行く」

やっぱり、特定のデバイスを持っていないと楽しめないという部分が、一番ひっかかる部分かもしれない。

iPadの電子“雑誌”も、どれだけ面白いものができても、iPadを持っている人の数を上限としてしか売ることができない。
ターゲットがiPad所有者とかぶるなら、十分な数だったりするのかな。


“Kindle3最大のポイントは日本語フォントが入ったことだろう。 フォントは1種類。丸ゴシックっぽい書体だ。”
「Kindle3」最速レビュー! iPad、旧Kindleと徹底比較(エキサイトレビュー)


新型Kindle発売のニュースを聞いて、これは買ってしまおう! 電子書籍時代だし! と盛り上がっていたけど、やめた(とりあえず)。
どんな文章も丸ゴで読まされるなんて!

決して上手くはない、いろんな制約がある、けどその中でデザイナーは苦労して書体を選んでいるはず。
そうやって選んだ書体が、それぞれのことばを強くしていくんだと思うんだけど。これは、デバイスの進化を期待するしかないのかな。
フォントを埋め込んだPDFは表示できるみたいだけど…

2010/08/26

インキ

先日、東洋インキの工場を見学させていただいた際にもらってきた、
インキを塗った紙。

色チップを見ながら、職人さんがインキを調色する姿、液体のインキを自在にあやつって、1kgぴったり秤に乗せる技…。

普段思いの及ばないところのいろいろな人の技を堪能させてもらいました。

写真は、調色して、配合比率を決めたインキと、
印刷するために、その比率にもとづいて大量に混ぜられたインキの色差を見るための方法(今回はやりかただけ見せてもらったので、同じインキ)。
なので、当然同じ色。

少しだけとったインキを紙の上に乗せ、
ヘラで伸ばします。

持ち帰ります、と言ったら、
わざわざインキの厚い部分をフィルムで保護して紫外線で硬化させてくれました。
ん、紫外線で硬化させてから、不十分な部分を保護してくれたんだったか…。

記憶はすぐに薄れていく。なんか足袋みたい。

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ink_1

2010/08/11

リアルワールドで宝探し

ニューヨークで行われている“本物”の宝探し、We Lost Our Gold
二人の人形使いが、1ドル金貨を集めて実施しているらしい。
夢があるなー。

We Lost Our Gold (20100810).jpg

順次公開される動画にヒントが隠されてるらしいけど、まったく分からんちん。



しかし、最終的に早い者勝ちってことになるのかな。混乱とか起きないんだろうか。

2010/08/10

特色の素晴らしい本

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印刷博物館のブックデザイン展で見て、素晴らしいと思った本。
特色3色のみ(多分)をうまく使って、いろいろな人々のイラストを紹介している。

アマゾンで取り扱いが終わってしまっていたので、
ためしに飯田橋のフランスの書籍専門店欧明社に取り寄せしてもらった。

洋書はとにかく高いというイメージがあったけど、約3000円。
どうだろう、安いほうだと思ったけど…

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イラストもかわいい。

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UNE BEAUTÈ。 翻訳すると…「美しさ」?
きれいな人って意味なのかな。

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UN BOSSUは…「せむし」。日本だと子供向けの本には使えなさそうな言葉。

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カバーは、広げるとちょっとしたポスターのような作り。
なんかアニメっぽい顔と、シンプルでオシャレな顔の二つのテイストが混ざってるのが、なんかアンバランス。

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上の本を購入したのは欧明社の本店。
偶然、日仏学院の方の店舗にも行きました。そこで見つけたイラストたっぷりの新聞?
フランス語がまったくダメなのでどんな媒体なのかよく分からない…
しかし、かなり毒のあるイラストがフレンチな感じ。

セールで一部100円。

2010/07/23

ヴィンセント・カッセルからM.I.A

notre jour viendra - feature film trailer from ROMAIN-GAVRAS on Vimeo.



ヴィンセント・カッセルが相変わらずカッコ良すぎる…監督はRomain Gavras。PVを主に手がけている監督の長編映画みたい。ヴィンセント・カッセルを見たいがために、また「憎しみ」を見直したくなってきた。前探したときはVHSしかなくて諦めた。



Youtubeでトレイラーを探したけど、日本語だとなんか見つからない…。
上の動画もファンが自分で編集したものらしいです。

で、Romain Gavras監督に話を戻すと、最近よくラジオでもかかってるM.I.AのBorn Freeもこの監督の作品だった。

M.I.A, Born Free from ROMAIN-GAVRAS on Vimeo.



PVでここまで暴力を直接的に描いたものって、初めてみたかも。

M.I.Aは、
Missing In Action(戦闘中行方不明)の略で、
連絡の取れないLTTEのメンバーとして活動中の父に対するメッセージである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/M.I.A.

日本のファンは、こういう音楽に対してどういう感情を持って接しているんだろう。

2010/07/20

この大きなうねり

この大きなうねりの中で、わたしたちは表現とは何か、書物/読み物を作る・読むとはどういうことか、新しいメディアにふさわしい表現技法とは何か、といった根本的な課題をもう一度考え直すことになるのだろう。そして、紙にこだわる人も、最先端の流れに乗っていく人も、新しい世界を見つめることになる。

電子書籍は波紋を生む「一石」となる « マガジン航[kɔː]


電子書籍のことが話題になるたびに、
例えばKindleなり、iPadなりのデバイスを手に入れられない人は、どうなるのか、
例えば両親の書棚から、レーティングがあったら読めないような本を見つけたり、
例えば古書店で、星の数ほどある本がそれぞれのドラマを経て棚をかたちづくっているのを見て運命を感じたり、
そういうものがどうなるのかがあまり語られていない気がして仕方がなかった。

もちろん、個人として(そして雑誌、それに類するものを扱う会社の社員として)すごく興味もあるし関わっていきたいと思っているのだけど、完全に肯定できない部分を語るのが懐古趣味的なネガティブなことに思えてしまっていたのだけど、

電子書籍に関心がある人と、電子書籍がいやという人との対話によって、新しい時代が作られると思う――と樺山さんは語る。


こういう意見を聞くと、すごく前向きないい気持ちになる。ともかく、時代は変わる。紙の本は消えるかもしれないけど、書き手と読者は常にいる。そして、それをつなぐ人も。

なるほどな、と思った「紙の本」の特性についていくつかメモ。

文庫本・新書版では、適切な大きさの文字で、見開き平均約1分間で読めるという特性がある。このように、書物というのは大変な発明だった(「マガジン航」掲載の津野海太郎「書物史の第三の革命」を参照)。


RSSリーダーで興味深い記事を見つけても、文字が小さすぎたり、行長が長すぎたりしてとても読めないことが多い。デジタルで「読む」ことがこんな不便を伴ったままでいいのか、と思うけど。これはソフトが解決するものなのかな。

紙のマンガでは、見開きになっているのが普通である。そして、たとえば登場人物が扉を開くシーンは、見開きの最後のコマに置くというようなテクニックがある。そうすると、登場人物と一緒に読者もページを「めくる」という作業が行なわれる。


Kindleとか、iPadでミステリを読んでみたい。ページをめくることと、物語が展開していくことはけっこう密接につながっている気がする。

2010/07/19

Future

久しぶりに一人で映画を観てきたんだけど、
隣の席が非常にはずれな片だったので、本編にほとんど集中できなかった。
そのことは、映画の感想と併せてまた書こう。

むしろ、予告編の「トロン レガシー」が一番興奮したので、とりあえずポスト。
「トロン」はゲームの中に入っちゃった〜!な少しお気楽なイメージがあったけど、かなりシリアスな予告編…。

ディズニー制作の映画は、きつい暴力描写とかがなさそうなイメージだけど、どうなるんだろう…。かなり楽しみ。



そして、以前に見かけた建築を勉強している方の卒業制作の一部。こういう未来には、もはや今の人間とはかけ離れた知覚を獲得しないと、適応していけないような気がする。

Augmented (hyper)Reality: Domestic Robocop from Keiichi Matsuda on Vimeo.

2010/07/05

むかしの雑誌

昔の雑誌を処分しようと思って引っ張り出して、もったいないからついつい読んでしまう。
デザイナーのざっくばらんな対談があって、ものすごく面白かったので、ここに少しだけ引用。
誠文堂新光社 PORTFOLIO Vol.1 No.35 Feb./Mar. 1991
「馬場雄二の[CI裏話探見談]①亀倉雄策」

お金にことや、デザインの現状に対する厳しい意見やクライアントへの希望、制作時の気分を盛り上げる方法などなど…。

いま、こういうざっくばらんな対談って読める雑誌あるのかな。Twitter? うーん、本屋でいろいろ見てみたくなった。

馬場 Gマークのときの裏話を何か。
亀倉 あれは、ただの仕事でね。役所は金がないんだからまったく。(笑)
馬場 いやいや、どうも。その点NTTは◯千万ですか……。
亀倉 日本人としては最高の2500万円もらいましたがね。でも外国人の4分の1ぐらいですか。

すごい…。しかし、ただの仕事って、無料って意味なのかな。

馬場 制作意欲を盛り立てるための何かはありますか。私の場合はディスコ調のフックトオンをBGMに使って気分を乗せますが。
亀倉 そんなものうるさくて。静かなほうがいい。

初めてフックトオンって言葉を知りました。

馬場 小数点がつくとつい信じちゃいますね。それに色彩学者はどうしてみんなセンスの悪いネクタイをしてるんですかね。
亀書 その通り。1人も色彩センスのいい人見たことないね。ところで君はいいネクタイしてるね。
僕のデザインじゃないか。(笑)


色彩学者をバッサリ。こういうくだり、なんだかすごくいいなあ。

結局、自分の部屋の収容能力が限界を迎えているので、少しづつ処分は続けるのだけど、やっぱり雑誌は10年、20年単位でとっておいて読みなおす時の楽しさがハンパじゃない。
特集が気になって買った35年前の別冊太陽には、アラーキー撮影の井上陽水の上半身ハダカで花を握り、その手で頬杖を付いた写真が…。写真載せたいけど、まずいんだろうなあ。
ちなみにキャッチが「男になるよ、きっと」。

2010/06/11

Words of the day.

これからはじめることをすべて正確に知っているなら
そのことをやって、いったい何になるというのだ。
すでに知っているのなら面白くも何ともない。
別のことをした方がまだましというものだ。

パブロ・ピカソ


ピカソの本名は、
パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・シブリアーノ・センティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ、だそう。
なんか説得力がある。
自分の名前すら、ともすれば曖昧になっていくような意識のなかで、新しい何か、確かな何かを求めていたのかもしれないと。

しかし、寿限無を地でいくような話。こちらは、
じゅげむ・じゅげむ・ごこうのすりきれ・かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ・うんらいまつ・ふうらいまつ・くうねるところにすむところ・やぶらこうじのぶらこうじ・ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん・しゅーりんがんのぐーりんだい・ぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーの・ちょうきゅうめいのちょうすけ



このあいだ、住民票の名前が変更になったという通知を受け取った。
JIS2004問題が波及して、自分の名前の1文字が、略字体から旧字体に変更になったらしい。
別に字体が変わることについては、ふーんというようなものだけれど、
旧ソ連を舞台にした、チャイルド44という小説を読んでいたので、ああ、俺も日本という国家で生きてるんだな、と強く思ったり。



チャイルド44、かなり面白いけど、いろんな非情さがツラい。だいたい、このタイトルからして大惨劇そのものを表してるし、あらゆる歪んで壊れた家族が描かれるし、国家も壊れているし、あらゆるものがズレた世界のなかで孤独。
ただ、それだけに主人公の行為がカッコよく見えるんだよな。

ジェフリー・ディーヴァーの作品をジェットコースター・ミステリー!なんて言って喜んで読んでいたけど、なるほど至る所に安全バーがあったし、それを完全に頼りにして読んでたなと。
こっちは、誰もが振り落とされていくボロボロのジェットコースターでゴールまでたどり着く、って感じかな。でも、ライムシリーズも待ち望んでおります。



はい、まとまらないまま終わります。あーあ。

2010/03/27

Apple Pro Speakerをステレオミニジャックから鳴らす

昔の雪見大福型iMacに付属していたProSpeakerがUSBから給電する、特殊なジャックなので、
なんとか普通のステレオミニジャックにつないで聴きたいなと思ってました。

以前は、ProSpeakerをミニジャックに変換できるiFireがあったらしいけど、FireWireからかACアダプタからの給電しかできないってのはちょっと不便だし、8000円くらいするらしい。

なので、思い切ってケーブルを切断して、乾電池で使えるベビーアンプと繋いで、
無事音をならすことができました!
余っていたUSBも一緒につないで、MacからUSBで給電もできるように。

(!)再生すると、いきなり音が鳴ります


基盤むき出しのままで使うのも壊しちゃいそうなので、ケースを買いに行ったのはいいけど、ちゃんとサイズを測っていかなかったので、あえなく収納できず…
むりやり、そこらにある厚紙で即席ケースにin…

P3150618.JPG

まあまあ可愛いので、とりあえずこれで使ってます。
iPhoneからもいい音で鳴ります

2010/03/15

Words of the day.

3月半ばに会社が移転する。
で、耳が痛いお言葉。

掃除をしなさい。
Sweep.


grapefruit juice
オノ・ヨーコ

予備校生時代に、図書館で借りたハードカバーのこの本を、
思わずすべて書き写したことを思い出す。
もともと、ドローイングをやりたいと思っていたけど、
思うように自分のモチーフも感情も見いだせずにいた自分に、
イマジネーションを羽ばたかせる気持ちの良さを気づかせてくれた。

本とその周辺に関わりたいと思うのは、
大学入学後だけど、こういう経験もまた、いまの自分を形作る要素のひとつだったんだろうな。

いま一番好きなのはこれかな。

思い出を脳の片半分に入れなさい。
そこに閉じこめ、忘れなさい。
脳のもう片半分に
それを探させなさい。
Put one memory into one half of your head.
Shut it off and forget it.
Let the other half of the brain long for it.

ナンバーがいくつかなのか分からなくなるので、
これから、タイトルに連番を付けるのは止めます。

2010/03/10

オオカミと樽売り

MacBookの容量が一杯になってしまって、ファイルを整理していたらこんなテキストファイルが見つかった。
どういう経緯で見つけたのか…、知恵があれば人の命さえ救えるというところに感動したんだろうな。

作者はセルマ・ラーゲルレーフ? ニルスシリーズの作者の方なのかな。未読なので、いつか読もう。

 その昔スウェーデンのヘリェダーレン地方の山中で、オオカミが樽売りの男を襲った。冬の凍った川の上をソリで渡ろうとしている時十頭程のオオカミに追いかけられたが、男の馬は駄馬だったので逃げ切れるとは思えなかった。
 男はオオカミの吼える声を聞き追いかけてくるのを見ると、のぼせ上がり、ひたすら馬に鞭を当てていたが恐怖のあまり手足が震えるほどだった。そのまま山道を馬ゾリで逃げていると、男のほうに向かって、おばあさんが歩いてくるのが見えた。多分ソリに隠れて狼の姿が見えないのだろう。男はその時、おばあさんに注意をしないで素通りすれば、おばあさんが野獣の餌食になり自分は助かるだろう、自分と馬2つの生命を助けるには1つの生命を犠牲にするのが最善だと考えた。
 その時オオカミが激しく吼えたので、馬は驚いて狂ったように駆け出しておばあさんの前を通り過ぎてしまった。おばあさんもオオカミに気付いたようだった。
「俺がおばあさんの前を通り過ぎた時は、俺のほうが魔物に見えただろうな。」
 逃げられると一応安心したものの、すぐに彼の心は痛み始めた。彼は今まで一度も不名誉な事をしたことがなかったので、自分の一生はこれで傷が付いてしまったと思った。
「俺にはおばあさんをオオカミの餌食にさせる事はできない!」
 男は馬を後戻りさせ、不機嫌そうにおばあさんをソリに引き上げた。
「お前の為にオオカミに追い付かれれば、俺も馬も死ななけりゃならないんだ!」
男は猛烈に走ったが、後ろからオオカミのハアハアと息をするのが聞こえたので追い付かれたと男は悟った。
「もうだめだ、お前を助けてやろうとしたせいで結局俺もお前も死ぬんだ!」
 男は叫んだ。
 おばあさんは今までずっと黙っていたが、
「どうしておまえさん、樽を投げ出して荷を軽くしないの?明日引き返して拾っていけばいいんじゃないのかい?」と、言った。
 男は、そんな事すら思い付かなかった自分に呆れ、おばあさんに手綱を取らせて樽を投げ捨て始めた。オオカミは氷の上に投げ出されたものが何か確かめようと立ち止まったので、ソリは少しオオカミを引き離す事ができた。
「これでだめなら、私はお前さんが逃げられるようにオオカミに身を投げ出すからのう。」と、おばあさんが言った。
 その時、男はソリの上から大きな樽を投げ出すところだったが、手を止めて考えた。
(馬と俺は不自由のない身だ。その俺たちの為に、このばあさんをオオカミの餌食にする事はない。何か助かる方法もあるだろう。…うん、あるとも。ただ、その方法が俺に見つからないだけなんだ。)と、彼は思った。
 彼は樽を投げようとしたが、また手を止めてハッハッハッと笑い出した。
 おばあさんは驚いて、気は確かなのかと男の顔を見たが、男のほうは自分の間抜けさを考えておかしくなったのだ。どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう、と。
 男はおばあさんに、
「俺はみんなが助かる方法を思い付いたよ。お前、このソリにのって村まで走っていき、村人に助けに来てくれと頼むんだぞ。」
 そう言って、男はオオカミがソリのすぐそばまでくると、いちばん大きな樽を氷の上に投げ出して下向きになった樽の中に潜り込んだ。
 オオカミどもは、中にいる男をどうすることもできない。
 男は樽の中で寝転びながらオオカミどもをあざ笑っていたが、やがて
「これからは、俺は何か困った事があったらこの樽のことを思い出そう。俺は自分に対しても他人に対しても、不正な事をする必要はないんだ。物事を解決するみちは、見つけようと思えば、いつでも見つかるものなんだ。」
と、言ったのだった。


Nils Holugerssones underbara resa genom Sverige
By Selma Lagerlof 1906-1907

2010/03/04

こまぎれ

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こまぎれにいろんな仕事を同時進行してると、どうにもなんだか。
頑張って泳いでるけど、全然前に進まない感じ。落ち着いてゆっくりやれば遅すぎるし、急げば失敗する。そこんとこ、もともとカナヅチだからよく分かる。
ストリックランド曰く、「水に落ちたら、泳ぎがうまかろうがまずかろうが関係ない。 とにかく這い上がらねば溺れる」
這い上がれる日が来るか、ずっとこのままたゆたうのか。

2010/03/03

デザインの力



素晴らしい講演。
他の新聞も同じようなアプローチをしたときにどうなるか?同じデザインで電子書籍になったらどうなのか?とか、いろいろ考えることはあると思うけど、勇気づけられる言葉の数々。
そして、デザイナーはただ、机に座っていろいろな関係に板挟みになって苦しむだけの存在ではないと思わせてくれる。
「デザイナーに力を」、それはそれぞれの自分の領域を勇気を持って飛び越す、ひと対ひとの関わりへの欲求だと思った。

日本語字幕付きは
ジャチェック・ウツコは問う「デザインは新聞を救えるか?」 | Video on TED.com

2010/02/24

Gunnar Optiksのメガネとクーポンコード

WiredVisionで紹介されていた、長時間画面を見続けても目が疲れないメガネを買いました。

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購入したのは、"Weezer"。ほんとはRocketモデルが良かったけど、購入時にはOut of Stockで購入できず(現在は在庫あり)。Online Storeから、Fedexで一週間以内に届きました。

数週間使った感想は、
○ かけると、画面のコントラストが上がってくっきり見える
○ 歪み?なのか、少し大きく見えるので細かい部分は見やすい
○ 目の奥が痛むような感覚はあまり感じなくなった
× レンズが曲がっているので、少しくらくらする


とまれ、一日中モニタの前で過ごしていて、ともかく目の疲労をなんとかしたい人には向いているかもしれません。

次回購入時のクーポンコードをもらったので、ご希望の方はコメントや、Twitterなりでご連絡いただければ差し上げます(たぶん使えると思うんですが、"Your Next Purchase"とあるのでダメだったらごめんなさい。)。
アカウントは作らなくて良かった気がするので、通ると思うんですが…。

追記
クーポンコードは15% OFFだそうです。

2010/02/09

DarumaLove

もう夜遅くて、カメラ持って出られないから、思わず撮ってしまった…。
はやく寝ないと風邪なおんないぞ、俺。

2010/02/08

かいじゅうたちのいるところ

where the wild things are

観たの結構前になってしまったけど、良い映画だと思いました。
子供から大人(そしてかいじゅうたち)の持ってる孤独感が必ずしも通じ合わずに、エンディングを迎えるところとか、大人だなー、と。
寂しい、現実に不満を抱くあるかいじゅうの繊細すぎる夢のジオラマのシーンは胸を打たれました。

ただ、なんというかあちら側の世界に行ってから、壊れそうな少年とか、日に日に汚れていく服装とかがリアルなのに、一切何かを食べるシーンが無かったのが、なんとも得心がいかない…。
肉食なんでしょ、かいじゅうたちは。でも、そういうシーンが何もないから、喰らわずして心を通じ合わせようとした重大性とかが軽い気がするんです。というか、無駄な要素を省くためにリアリティを失うような大幅な省略をしていると思うんだけど、テーマはすごく現実的な身近な問題だから、なんかこう、歯車がいまいち噛み合わなかった気がする。「パンズ・ラビリンス」の方がそういう映画としての一体感はすごくよくできてたんじゃないかな。

音楽はすごく良かったです。でも、映画の少年のイノセンスとセットになってな気がしました。チャイルディッシュな男の子の歌声に萌えるなら、サントラは買いなのかなーと思ったり。

余談ですが、観に行った新宿ピカデリーは週末ということもあってか、大混雑でした。映画って完全に娯楽の王道に返り咲いたのかなと、そんな風に思いました。

2010/01/25

AVATAR

川崎109シネマズで、IMAXの吹き替えでアバターを観てきました。
会場はかなりの入り。エントランスには次回以降、売り切れの張り紙も。

avatar.jpg

3D映画として素晴らしいできだという噂を聴いていたので、
せっかくなら、と川崎のIMAXシアターで吹き替え版で観てきました。

感想書こうと思ったけど、もはや今週も時間切れ。
少しづつ追記していこうかな…。
ちょっとだけ…アバターは自身の鏡、のはずが主人公がどんどん現実に愛想を尽かして逃避していくように(しか)見えなくて、パンドラが主人公にとっての最も身近な逃げ場所のような気がしてしまった。人間への、(少なくとも大佐に従っているだけの)兵士たちへの殺害に葛藤とか、もすこし感じてもいいんじゃないかな。

追記 100126
かなりジブリ映画の影響を受けているシーンが多いような気がした。
動物と心を通わせるための触手は、ナウシカのオームの触手のような、
森で生きる人々が主人公なのも宮崎駿っぽい気が。
最初はもののけ姫みたいだと思っていたけど、だんだん平成たぬき合戦ぽんぽこに似てると思うようになっていった。
雰囲気としては、もののけ姫っぽいのに、なんでぽんぽこを思い浮かべるんだろうと思っていたけど、今日になってはたと思いついた。

人間対たぬき、人間対ナヴィというシンプルな対立が似ているのかな、と。
もののけ姫は、たたら場対もののけ、そして両者をつなぐものとしてアシタカがいて、
観客の視座が確保されているけど、ぽんぽことアバターはそういう第三者的な立場の人がいないんじゃないかと。
両方とも、だから、個人的には最後までどちらかに強く感情移入ができなかった、というのは少し残念。

あと、細かいけど、
アバターが仮にも生き物として作られているなら、活動をつづけるうちに、
脳が自立して活動しはじめて、ある程度単なる器として以上のものになりはじめる——
という描写があっても良かった気がする。
でないと、ラストのドコドンダンスであっけなく転生することに説得力がないような。
テクノロジーでアバターを器として制限していた(もしくは、ソウルを移し得なかった)限界やリミッターが、パンドラの生命力が超えさせた!という感動がなかった。

いや、面白かったんですが。
こういう瑣末なことを誰かと話せると、映画を観たって気になるんです。
自分としては。

2010/01/06

あけましておめでとうございます。

今年こそはいい年になりますように。
このブログが誰かに見られてるのか見られてないのか、
それすらも分かってませんが、ありがとう。僕も頑張ります。

2010